ゼニアが夏物スーツにもウールを使う理由



ゼニアが夏物スーツにもウールを使う理由

ゼニアが夏物スーツにもウールを使う理由

「世界一の生地」を誇るゼニアのスーツは、夏物でも高品質な生地を楽しむことができます。その秘訣は創業以来絶えず研究されてきた、ウールへのこだわりにあります。そんな生地の品質を損なうことなく、真夏でもスーツを楽しめる最新技術も開発されました。今回は本格的な夏を前にチェックしておきたい、ゼニアの夏物スーツについてご紹介します。

 

 

 

 

ゼニアが夏物スーツにもウールを使う理由

ゼニアが夏物スーツにもウールを使う理由

ウール生地というと冬物のイメージが先行してしまいますが、夏物のスーツを作るときにも欠かせません。そのポイントは、ウールが持つ風通しの良い生地を作るための柔軟性と、汗を素早く放出する吸湿性にあります。

 

ゼニアのウール繊維加工:耐久性の高い強撚糸

ゼニアの薄くて軽やかなスーツを作るのに欠かせない要素が、ウールを強力に撚り合わせた強撚糸(きょうねんし)の技術です。
通気性の高いスーツを作るには、糸一本一本の強度が欠かせません。ウールの繊維がちぎれないように強撚糸を生産するには、精密な繊維加工技術と強い撚りに耐えられる素材が必要です。
滑らかな肌触りのウールを強撚糸にすると、強度が増す分ゴワゴワとした質感になってしまうことが多いです。しかしゼニアは複数の細い繊維を撚り合わせることで、滑らかさと糸の強さを確保しています。
ゼニアの滑らかで強靭な生地の秘訣は、素材となるウール選びにあります。
ゼニアは原料の調達から繊維加工、紡績といった強撚糸の生産に関わるすべてのプロセスを自社工場で管理しています。柔軟性に優れたウールを確保するために、生産農家からとくに柔軟性に優れたスーパーファインウールだけを直接輸入しているのです。その素材を自社工場で微調整を繰り返しながら紡績することで、強靭で滑らかな肌触りの強撚糸が作られます。
さらに糸を紡績した段階で数メートル単位で検品するので、ゼニアの品質に見合わないものが生地の生産ラインに乗ることはありません。こうしたゼニア独自の生産体制のおかげで、夏物でも快適で肌触りのいいスーツを作ることができるのです。

 

ゼニアのウール繊維加工:吸汗性と速乾性

ゼニアがウール生地にこだわる理由は、羊毛の持つ“汗を吸う性質”と“水分を発散する性質”も関係しています。
夏の暑さの原因は気温だけではなく湿度も大きな要因です。人間は汗が渇く時の気化冷却で体温を調整しますが、長袖の衣服は湿気を閉じ込めてしまうため、汗をかいてもさらに体温が上昇してしまいます。

しかしウールは天然の湿度コントロール機能を持っており、生地自体が湿度を逃がしてくれます。ウールは衣類用の糸に加工すると、吸水性に富んだスポンジ状の繊維になります。衣類用生地に加工すると、夏場でも汗を吸水し素早く放出する、夏場でも快適なスーツを作ることができるのです。
最近では化学繊維でも冷感素材が開発されていますが、ウールのような一年中快適な湿度を保つ素材は未だに再現できません。そのためゼニアは、加工の手間をかけてでもウールを素材として選んでいるのです。

 

夏の日差しを跳ね返す染色技術「Cool Effect」

ゼニアが夏物スーツにもウールを使う理由

100年以上繊維加工に携わるゼニアが2010年にリリースした生地の加工技術が「Cool Effect(クールエフェクト)」です。夏の暑さを軽減するには“風通しの良い生地を使うこと”“汗をよく吸い発散すること”の2つだけではなく、 “日光の熱を吸収しないこと”も大切です。3つ目のポイントをクリアするために、ゼニアは生地の染色方法を工夫することで、太陽光の熱を吸収しづらい生地を開発しました。

 

直射日光をおよそ80%反射するCool Effect

ゼニアのCool Effectには、直射日光を約80%反射する独自開発のトリートメント加工が施されています。
夏物スーツの着心地には、通気性もさることながら体感温度が大きく関係しています。いくら薄手の生地を使用していても、真夏に濃色のジャケットは敬遠されがちです。しかし真夏の日差しを跳ね返すCool Effectの生地ならば、炎天下でもダークスーツを着ることができます。
Cool Effectの加工では、糸の染色と生地仕上げの二つの段階でトリートメントを施します。二重のコーティングによって直射日光を約80%カットすることができ、普通の生地と比べると体感温度がおよそ10℃も変化するのです。その効果は炎天下でジャケットに袖を通したときに体感することができるでしょう。
また糸にコーティングを施すだけなので、Cool Effectに対応した既存レーベルも数多くリリースされています。季節を問わずゼニアの「世界一美しい生地」が堪能できます。

 

日本の夏にも強いレーベル「High Performance-Cool Effect」

ゼニアが夏物スーツにもウールを使う理由

Cool Effectの技術は、これまで人気を集めていたゼニアの各レーベルをさらに進化させました。その中でも特に注目されているのが、シワにも夏の暑さにも強い生地レーベル「High Performance-Cool Effect(ハイパフォーマンス・クールエフェクト)」です。
ベースとなっている「High Performance」は、「旅行にも持っていけるスーツ」として開発されました。シワに対する復元力が高く、1985年の販売から実に40年以上愛され続けている人気レーベルです。
通気性の高い夏物スーツとして人気のHigh Performanceでしたが、湿度の高い季節になると生地が波打ってしまうという欠点を抱えていました。これは使用している糸の密度が低いために、一本一本の捻じれがスーツ全体に影響してしまうことが原因でした。特に湿度の高いアジアでは、梅雨の時期になると目に見えて生地がゆがんでしまいました。

そんなHigh Performanceを再び人気レーベルに押し上げたのが、2010年に誕生したCool Effectの技術です。
今までは風通しの良さのみで夏の暑さをしのいでいましたが、Cool Effectをかけ合わせたことで、直射日光による暑さを回避することができます。そのため波打ちが起こらなくなる程度まで糸の密度を向上させても、総合的に涼しく過ごせるレーベルが完成しました。
さらに繊維自体の紡績方法も見直され、「Traveler」で培われた捻じれに強い「SZ撚り」を採用したことも大きな変更点です。「SZ撚り」の強撚糸を使用することで、High Performanceのシワに対する復元力がさらに向上しました。
それまで作られてきた多くのレーベルにCool Effectを施すことで、既存の生地レーベルで培ってきたノウハウを生かしながら、より快適に着こなせるスーツを作ることができます。

 

夏物のゼニアを長く愛用するためのお手入れ方法

ゼニアが夏物スーツにもウールを使う理由

生地が汗を吸ったり、皮脂汚れが付く夏場は、スーツのお手入れが欠かせません。
ウール生地のお手入れといえばクリーニングを想像するかもしれませんが、スーツを長く愛用するためには、クリーニングにあまり出さないほうがいいのです。これにはウールの性質と汚れの落とし方の違いが関係しています。

 

水を使ったウェットクリーニング

ウェットクリーニングとは、文字通り水洗いをするクリーニング法です。現在でもTシャツなどを洗う時には水洗いをしますが、19世紀まではスーツも水洗いすることが一般的でした。
ウェットクリーニングは、人間の皮脂など日常生活でつく水溶性の汚れを落とすには理にかなった洗い方です。しかし天然繊維のウールは、大量の水を含むと縮んでしまいます。特に、細い繊維を撚り合わせて作ったゼニアの生地は、水分の影響を多分に受けてしまうでしょう。

 

有機溶剤を使ったドライクリーニング

有機溶剤、つまり油を使って汚れを落とすドライクリーニングは、生地を縮めることなく汚れを落とすことのできるクリーニング方法です。水に浸けると縮んでしまうウールや、水洗いでは落ちない油溶性の汚れを落とす時にはドライクリーニングが適しています。
しかしあまり頻繁にドライクリーニング出し過ぎると、ゼニアスーツの光沢や手触りを損ねてしまう可能性があります。ウールは特有の油分でコーティングされており、それによってウール地独特の光沢を生まれます。
このコーティングは簡単に落ちてしまうわけではありませんが、油溶性汚れに強いドライクリーニングをかけすぎると、ゼニアの魅力である生地の品質も失われてしまいます。クリーニングは大きな油汚れがついてしまったときだけに留め、簡単な汚れは自宅でこまめに落とすようにしましょう。

 

自宅でできる正しいスーツメンテナンス

スーツへのダメージが少ないお手入れの方法は、こまめなブラッシングと水拭きです。
大きな汚れがつく前にブラッシング固く絞った布で表面を拭いて、皮脂汚れを落としましょう。
スーツは毎日着用せず、一日着たら休ませることも大切です。生地を放置しておくことで繊維の捻じれが解消されるだけでなく、日中に吸収した汗などを放出することができます。特に上質なウールが高密度で撚り合わせられているゼニアのスーツは、しっかりと水分の放出を行う必要があります。スーツを休ませるときは前ボタンは必ず外すようにしましょう。そうすることで前ボタンからシワが斜めに入るの防ぐことができます。
スーツを休ませる暇もないという方は、シワが回復しやすいレーベルをセレクトしてもよいでしょう。トラベラーなどの生地はハンガーにかけて一晩休ませるだけでシワが解消されるので、毎日忙しいビジネスマンなどにうってつけのスーツです。

ゼニアの夏物は、梅雨でも湿潤な気候や強い日差しの下でも涼しく着こなすことができるスーツです。炎天下で袖を通した時、他のスーツとの違いを感じていただくことができるでしょう。涼しさにも肌触りにも優れたゼニアの夏物をぜひ体験してみてください。

 

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